今回は愛知県犬山市在住のジャンクアーティスト、JUNK LAW氏にインタビューを行ってきました。JUNK LAW氏はジャンクパーツ(鉄くず)に溶接や板金といった加工を施し作品を製作しているアーティストです。ジャンクパーツ特有の荒々しい素材感を活かしながらも繊細かつ躍動感溢れる彼の作品は必見です。
LADY(2011) |
KALI(2016) |
今回のインタビューの中で色々と質問させて頂いたわけですが、僕が彼から感じたのはとにかく自由で前向きなパワーです。何の変哲もない、ただの鉄くずをアートに変えていくという過程そのものが彼の人間性、人生に表れているような気がしました。型にはまることなく、本能のまま、前向きに我が道を切り開いていくJUNK LAW氏の魅力が少しでも伝われば良いなと思います。
MOMIJI(2015) |
KG 製作を始めたのはいつからですか?
JUNK LAW(以下 J) ちゃんとやり始めたのは20歳くらいからです。
KG きっかけは何だったんですか?
J 塚本晋也の"鉄男"っていう映画を観てすげーなぁって思った所からですかね。鉄の物体をコマ撮りで1回ずつ撮っていって、それを編集してパラパラっと動かしていくところに驚きました。何よりスピード感が凄くて当時の僕には衝撃的でした。
KG 見せ方としてのスピード感ということですね。
KG 元々何かモノ作りをやっていたんですか?
J これと言って何か作ってたワケではないですね。バンドはやってたんですけど、その感覚じゃなかったんです。みんなで足並み揃えてやるバンドよりも、1人でモノ作りしてるのは自由だし、良いも悪いも自分次第で。それが良かったです。いつ、どこでライブやるとか都合を誰かに合わせたり、メンバーのあいつが足引っ張ってるとかグチを言い合うこともないし、全部自分の好きなようにできるので。
KG でも逆に言ったら自分が怠けた時点でダメになるっていう感覚もありますよね?
J それが気持ち良かったというか、誰かがどうにかしてれるというよりも何もない方が良かったです。そこからテッペンというか、行けるとこまで行けたら最高だなーと思ってましたね。
KG 前向きですね、まさに自分で未来を作っていく感覚ですねー!その中で影響を受けたモノは何ですか?
J やっぱり音楽です、当時ならBLANCKY JET CITYですね。あの歌詞をあのメロディーに乗せてバンドが成立するんだったら、そういうものを物体にして表現しようと思いました。
KG では、誰か他にジャンクアートをやってる人を見て自分もやってやろうと思ったわけではないんですね?
J いえ、違います!
KG 意外な答えでした、誰かに憧れてやり始めるということが多いと思ってたので・・・。では気づいたら鉄でモノを作っていた感覚に近いですか?
J その感覚に近いですね、ジャンクアートやってる人口も少なかったので。
KG そうなんですね、ではジャンクアートという言葉すらなかったんじゃないですか?
J なかったです。ジャンクアートなんて言葉は僕がやり始めて随分経ってからですねぇ。
KG 周りに同じようなことをやってる人は誰もいなかったんじゃないでしょうか?
J 身近にはいなかったです。だから誰かに教えてもらったとかではないですね。
KG 海外のカルチャーからインスパイアされたとかでもなかったですか?
J 海外にそういうものはあったみたいですけど、最初は知らなかったです。
KG 作り方すら分からない中でどうやって作品を作っていったんですか?
J 何となく見つけた鉄の破片が、顔のパーツに見えたらそれを作品の顔のパーツに使ったり、何となくですね。これを使ってこうしなさいって教えてくれる人もいないので。でも、逆に自由だから楽でしたね。元々仕事で溶接をやっていたので、最初は溶接で鉄の破片をくっつけていくだけでした。後になって、叩いてこんな風にしたいなぁと思って叩いて変形させてみたり。
ジャンクアートの崩れた表情と、こうしたいなぁという自分の欲を融合させたものが今のJUNKLAWの作品ですね。本来は加工せずに素材をそのまま使って製作するのがジャンクアートなんですけど、僕は手を加えてるので邪道かもしれません。
KG でもそこにオリジナリティが出てくるんですよね?
J そうです、それを出す為にやってます。でもやり過ぎてしまうのは違うので、自分の狙った所だけのギリギリのラインでやってます。
KG なるほど、そこでJUNKLAWさん特有の作品の動きや、表情が出てくるんですね。
J はい、最後の二次加工の板金でそれを出します。元々の素材を"こうしたらもっと良くなるなぁ"と思ってやってて、ひと手間かけてさらに良くなればいいので僕の中では邪道ではないですね。良くなることしか考えてないです。
J 依頼された作品以外は、その時に作りたいなぁと思ったモノを作ってますね。
KG では製作中は何かイメージしているものはありますか?例えば作品の顔の表情だったり・・・。
J 小学生の頃に寺沢武一の"スペースコブラ"というマンガを見ていて、顔に関しては結局同じような雰囲気のモノが生まれますね。その中のキャラクターが小学生の頃から刷り込まれていて血のように流れているような感覚なんです。昔は無理をして違う物を作ろうとしていた時期もあったんですが・・・。同じようなものになったとしても無理をせずに製作しているのが今は心地良いですね。
KG なるほど!子供の頃に見ていたものが刷り込まれている感覚は僕にも当てはまるかもしれません・・・。では少し話が変わってしまいますが、活動の中でやりがいを感じる時はいつですか?
J やっぱり製作し終わって評価をもらった時ですね。たくさんの人に観てもらうことに越したことはないです。
KG 作品製作中や、完成した時ではなく、作品を発表する時にやりがいを感じているんですね!
J 作品製作は自分の欲を出せるだけ出してる感覚なんです。製作中は素材と自分だけの世界だから好きなように、ワガママにやっています。それが発表された時に評価してもらえたら"成功したな〜"と感じます。
KG 自分だけでなく、多くの人に喜んでもらえたり、感動を与えることができたら最高ですもんね!海外での展示も行っていますが、たくさんの人に観てもらうということで海外に発信していきたいという思いも強いですか?
J モノ作ってる人が世界を見ていないなんて言ったらウソになりますからね!
KG その意識はいつからですか?
J もうやり始めた時からずっとです。でも行く方法も知らなかったですし、誰かが連れて行ってくれるのかなぁとも思ってましたけど途中で気付くんですよね。"そんなうまい話ないわ"と(笑)
だから身銭を切って海外へ作品を送るわけなんですけど、向こうのギャラリーとのコミュニケーションもうまく取れないので・・・、本当は自分も行って、英語も話せてっていうのが理想なんですけど、まだその準備が出来てない状況ですね。
KG 海外での展示で何か変わりました?
J それが分からないんですよね。アメリカで2回、フランスで1回やっているんですけど、見せ方だとかは全部向こうのギャラリーに任せて、自分は作品を送るだけというカタチだったので・・・。英語で上手くコミュニケーションも取れず、どんな評価をされたとかそういうのも分からなくて。やっぱり自分で足を運んで肌で色々感じてこないとダメだなと思いました。
JUNKLAW × SKULL SKATES |
KG その中で今後やっていきたいことは何でしょうか?
J まずはKONER GALLERYさん主催の展示会"面妖"です。よろしくお願いします!
KG こちらこそ、よろしくお願いします!最高の展示会にしましょう!お忙しい中、時間を割いて頂きありがとうございました!
9/24,25の2日間、愛知県名古屋市の大須にあるMr.treizeさんにてJUNK LAW氏と仮面作家のシバタアツシ氏の作品展示、販売イベントを開催致します。JUNK LAW氏はもちろん、シバタアツシ氏の持つダークな世界観も必見です。入場無料ですので沢山の方のご来場お待ちしております!
愛知県名古屋市中区大須3-13-12 第1ニシノビル2F
JUNK LAW商品ページはこちら
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